NHK杯2日目

宣言通り、NHK杯2日目・3日目をその日のうちに書き記すことは出来ませんでした。なんせ寝不足でした。ネットを見ていた友達に「こんな時間まで起きて!」と言われたくらいです。どんな好きなものでも、睡魔の前に無力、ということはあります。過去、アイスショーで一瞬寝てた、という事だってあります。だって暗いし。大きな音楽が聞こえてくるし。ちょっと異次元に連れて行かれるんだもの。

9日は、競技予定を見ればわかるように長丁場となりました。たくさんのいい演技が見られて、大変興奮しました。しかし、メモをあまり取ってないので、何となく少なめ。

アイスダンスの上位選手たちの6分間練習は、目が覚める思い。みんなビュンビュン飛ばしてて、どの選手の滑りも凄い。そして逆説的に、これを試合でやるっていう事は難しい事なのだ、という事を知る。

・チャーリーがすっきりしてた。イリカツかわいい。アンナかわいい。ルカがかっこ良く見えてきたのは、アンナ効果、という事でよろしいか。

・メリル・デイビス/チャーリー・ホワイト組(メリチャリ)SP

一本映画を見た、くらいの満足感がある。

高橋成美/木原龍一組(成龍)FP

実は前日のSP、6分間練習の時から成美ちゃんのスピードがなく、元気もないみたいで気になっていました。後で知った事ですが風邪気味だったそうです。FPはそんな事を感じさせないしっかりとした演技だったと思います。音楽も、若くてフレッシュな二人にとても似合ってる。曲調が変わって、二人して行進のような振り付けをする所が好き。いつも「いっくぞーー!」と声をあてています。かっこいい。今しか滑れないプログラムに仕上がってるし、本人たち、特に木原君は、じっくりしっかりやって行きたい、というような事をインタビューで答えていて頼もしいです。フィギュアスケート、本当に見始めるなら今、だと思います。彼らがいるから。こんな風に最初から作って行く所を見られるなんて、観客冥利に尽きます。

・タチアナ・ボロソジャル/マキシム・トランコフ組(ボロトラ)FP

「何故黄色いパンツ…」と思っていたけど、現地で見てはっきりわかりました。あれ、ゴールドなのか…。ゴーージャス!びゅんびゅんしてる。表彰式の後だったと思うのだけど、タチアナのエッジケースの渡し方がかわいかった。

・めんしょふさーーーん!(男子FP)

ジェレミー・アボット(男子FP)

もう、このエクソジェネシスを”生観戦”することは出来ないと思うので、今日の演技が、アボットさんが納得できるもので本当に良かった。完璧、とは言いがたいけれど復活の兆し。ここから、という感じ。美しい2A-3T。点数に関しては、ジャンプの転倒はなかったけど、危なっかしいジャンプはあったし、滑り自体もアボさん比で荒かったように思うので、まあ、こんなものじゃないでしょうか。アダムにしてもアボットにしても、ここまで国際試合で滑りが安定していなかったことを考えると、技術の定着、という意味で、PCSが乱高下するのはある程度仕方がない、とも思うし。でも、ここから、だと思います。全米を経て、必ず五輪でこのプログラムを見たいです。

アダム・リッポン(男子FP)

まじニジンスキー…と、私のメモにはかいてあります。バカなのでしょうか。SPでは、「リッポンが男前になった…」「精悍になった…!」と騒がせておいて、FPには、ああ、これだ、これはリッポンにしか出来ない、と思わせるような、そうそう、こういうのが出来る人なんだよ、と妙に納得するような。そんな気持ちで、まじニジンスキー…!です。

・無良選手、ジャンプが流れるようになりましたよね。ちょっと前まで、彼のステップに涙がにじむことがあろうとは思いませんでした。情感あふれる、力強いステップでした。

・いやあああ似合ってるなーー!(織田選手)

・高橋選手は、前日のを見てしまっているので、スタオベはしませんでした。でも、スタオベする人の気持ちも、タオルふる人の気持ちも、わかるよ…だってそれもやっぱり、前日のSPを見てしまっているから、だと思うもの。

・大変センチメンタルな感情で申し訳ないのですが、高橋大輔の隣に織田信成が並んでいる表彰台、が、想像以上に嬉しくて。なんだか久しぶりに見た気がします。

・ラジオノワも、なんとなく調子が悪そうでしたので、FPの後涙ぐんで、本当に嬉しそうにしていたのが印象的でした。こういう状態でどこまでできるか、という試合だったのかもしれません。踊れるし足下はしっかりしているし、体の小ささを全然感じさせないリンクの使い方をしているし、上手いなあ、とは思っていましたけど本当に面白いです。

・ジュニア世代はロシアがかなり強いという印象で、心配する声がたまにありますけれど、日本には宮原知子がいる、という事を感じた試合でした。堂々としていて強かった。ショーで見たことがあったんだけど、その時はショーの見せ方がまだ身に付いていない、という印象で、あまり印象に残っていないのですが、彼女は、大きなリンクが似合う人なんですね。その手を打つ所、ちょっとだけ音楽を待って、打ち方に緩急つけてみようか、と見るたびに思ってます。

・浅田さんの衣装を6分間練習で見た時は衝撃を受けました。鐘…何故…禊?首と肩、出した方がいーよ。頭をくいっくいっとやるところ、目立たなくなってるし。昨シーズンと違って、3Aをいれても、スピンのスピードが落ちなくなった事、高難度ステップや、つなぎをそつなく丁寧にこなせている事が、高得点の理由だと思います。昨シーズンは、凄く良かった4大陸でさえ、3Aを入れたら、他の要素がシーズン前半に比べて見劣りしてましたもん。3Aがどうなろうとこなせるって言うのが、強み。なので、3Aをもう一個入れるって言うのは、どうなんでしょう。

・長洲選手の演技前の中断に関して。システムのエラーなんてものは、起こる時は起こるし、どうしようもない事だと思います。ただ、20分は長い。たぶん、システムの復旧的には最速なんだろうけど、氷の上に選手を待たせての20分は、長い、です。早い段階で一度氷からあげる事は考えなかったのだろうか、と思います。また、まるでご褒美のように「エキシビジョン出演が決まりました」というアナウンスが入りましたが、あの段階で、それは、どうなんでしょう。もちろん、出演料が出るので、そちらをお渡しする事がメインなんでしょうけれど、長洲選手の場合は自力でエキシビジョンに出る力も持っているわけで、少なくとも、これから行う試合の結果で決まる事を、あのタイミングで伝えるのは、なんだか嫌な感じ、だと思いました。長洲選手がどう思ったかはわかりませんけれど。

長洲選手は、はじめこそ不安そうな顔をしていましたが、音楽が流れると肩を小さく動かしてダンスをしたり、両方の人差し指を天井に向けて上下させたり(アゲアゲ、というような動き)笑顔で客席を盛り上げてくれました。氷の上にいるわけですから、動きを止めるわけにも行かなかったのでしょう。会場も手拍子して、まあ、盛り上がるしかないし、少しでも未来ちゃんの気持ちが上向きになればいいな、という思いでいたとおもいます。

ただ、そうなると、どうしたって試合前のテンションとは変わってきてしまいます。中断が長いものだから、結果的にたくさんのジャンプを飛んでいましたし(どれも奇麗におりていました)知らず知らずのうちに、体は、疲れていたんだろうと思います。長洲選手へのスタンディングオベーションは、彼女が氷の上にいた間、彼女が取った行動のすべてに対して行われたものでした。演技は納得いくものではなかったでしょうし、そういう演技にスタオベをするのは、逆に失礼だと思うこともあるので、考えてしまうのですが、ただ、あの時は、立たずにはいられなかったのです。