NHK杯 1日目
2日目、3日目が書かれるかはわからないが、念のため「1日目」と付けておく。
スケート観戦は、ピクニックみたいで楽しい。上に羽織る物や敷物を用意し(代々木の椅子は長時間座るのがきついので。後ろの人の視線を遮らない程度に、膝掛けなどを準備する)、温かい飲み物を水筒に詰め、おむすびかサンドイッチか、片手でちょっと食べられる物やお菓子やガムを鞄に入れて出かけるのは、準備の段階からしてちょっとだけ楽しい。大抵の試合会場は屋台も出ているし、その時の気分で焼きそばを食べたり、リンクを見ながらおむすびを食べたり、する。この、ちょっとだけ快適に過ごす為の何か、を準備して楽しめるのがいい。本当は映画だって演劇だってそんな風に出かけてゆきたい。
さて、NHK杯。1日目の今日は、ペアSP、男子シングルSP、女子シングルSPが行われていた。演技の合間合間に、会場で呟いた事をいくつか。
・中国の彭程/張昊(チェン・パン/ハオ・ジャン)組。略してパンジャン組。国別で見た時は、とにかく女性の方が「大変そう」だと思ったし、それは「体のサイズも、キャリアも違う男性のリードについていくのはきつそう」に見えたからだったのだけど、今日はとにかく、上手くなっている事に驚いた。女性の滑りがきりっとして、危なっかしい所がなくなった。更に中国はもう1組隋文静/韓聡 (ウェンジン・スイ/コン・ハン)組も、良かった。
・メンショフさん…それ、なんちゅうテレビサイズの衣装だよ…!(2階席からは確認できず)肩や腕の使い方がお洒落で、かっこよかった…!
・6分間練習のアボットは、ただ滑るだけで、目立つ。凄く綺麗。ジャンプの失敗はあったけれど、カッコイイという印象しか残ってない。(それはそれでどうなのか)
・はわわわわーーーー♡ぎゅううう!きゅーーーん♡(ヴォロノフだと思われます)
・織田信成。興奮した。2階席まで、笑顔が伝わって来た。見ていて本当に心躍るし、楽しい。会場全体が楽しくて嬉しくて、だから、あのスタオベだったし、「ええーー!」という声だったと思う。あれは、ブーイング、と言う種類の物かもしれないけど、いいブーイングであった。つまり、観客には、あそこがわかりにくいよ、ってこと。分かりにくい場所が明確になったんだから、そこを説明してくれたらいい。
「点数が思ったより(目の前で怒った事に対する自分自身の興奮度に比べて)低い」理由は、プロトコル見たらわかる。4-3がアンダーローテッド(1/4回転くらい足りてないよ)で、3lzにeが付いてる。でも、しかしそのどちらも、その割にはGOEの減点は少なめ。「惜しいね!」って事だろうし、ということは私たちが見た印象とも、乖離してないと考えていいんじゃないかな。
私の位置からは、4-3の4は一瞬詰まるような、織田君比ですーっと流れていくようなジャンプではないな、と思った事を覚えています。スピンは、二つともレベル3で、これは単純に、取りこぼしでしょう?個人的には、回転が遅い気がしました。でも、GOEでプラスされてるから、ここも質は悪くない、のでしょう。
つまり、「よく見たら、実際は細かなミスがたくさんある」という演技ではあったけれど、全体の印象も良かったし、だから、PCSは総じて上がっていっているようです。
ていうか、90点台をたたき出したネーベルホルンのときより2.03点も上がってるの!?凄いじゃん!
(もちろん、単純に比べられる物ではない、と言う事は理解しているつもりだけれども)
「回転不足にe判定にスピンが2つレベル3」と考えると、点数は出た方だな、と思う。一見完璧に見えたし、織田君も「出来た」と感じるほど、わかりにくい細かなミスだったんだろう。キスクラで残念そうな選手を見るのは正直悲しかったけど、よくよく考えてみたら、このPCSは、じわじわと喜んでいい事だと思う。点数にも、私は、納得した。
・無良選手のあのSP。超色っぽくて好き。
・遠目からみるとなんですくんの衣装が変な感じがするんだけど、スクリーン情報が待たれる…お尻!←New!
・高橋大輔。圧倒的。最初に滑り出した瞬間から惹き付けられた。空気が見えるなら、高橋大輔から会場全体を覆うようになにか大きな気体が出ていたと思う。ただ滑っただけで息をのむほどおそろしく、そのまま呼吸を忘れそう。なんだかもう美しいとかかっこいいとか凄いとか通り越して怖い。畏怖の対象。
リズミカルな音楽ではないし、そう言う雰囲気の曲でもないので、手拍子は出ないとは思っているけれど、とにかく静かに、ただひたすらに滑ってる人を見る、と言う気持ちだった。
大量にD1SKタオルが振られるのも、演技後に花やプレゼントが大量に降り注ぐのも、6分間練習の際、高橋が滑る場所へと声援が移動していき、声がウェーブみたいになってるのも、全て、納得した。あれを見せられたら、仕方がない。心臓をわしづかみにされたようなものだから。ウィニングランかよwとか、ツッコんでて、ご、ごめんね…
・さとこちゃんって、体のわりに滑りが大きいんだねーー大きくてうまいーーいい音楽いい衣装いいプログラム!
・ラジオノワ、スピードあるなーーあと、凄く睫毛が長いです…滑りが全然ジュニアじゃない。ステップ、大変そう。鬼やな…
・レオノワ。3-3の二個目がアンダーで転倒。でも、泣きそうになってしまった。最初の3回転、久しぶりに見た、レオノワのいいジャンプで、そこにもう一個3を付けたって言うのも、なんかもう、格好良くて。転倒になってしまったけれど、いい3-3だった。2Aは6分間練習でも何度か確認していたから、着氷にほっとしたし、踊りはやっぱり上手くて、その中で手や指先、越の使い方がまた一段と上手くなってて、故障もあるし本調子ではないんだろうけど、その中で出来る事をした、そういうプログラムだったのではなかろうか。演技後、口角をあげるレオノワも久しぶりで。
・姉さん…マルケイの靴は今日もキラキラです!2階席からも、ばっちりです。そしてそれ以上に、キラキラしているマルケイです!かわいい!きれい!切ない!なんかわからないけど、マルケイが嬉しいと私も嬉しい!
・浅田さん。6分間練習の方が、綺麗な3Aをおりてた?(回転が足りてるかどうか、着氷が片足かどうかまではちょっと確認できない)浅田さんも、3A、3-2で減点されつつも、高得点をマーク。
腕の表情がすばらしく、ためる、ためた先の動かし方。それが、「切なさ」だとか「哀愁」だとか、そういうものを含めて「叙情性」を与えている。「初恋」は「初恋」でも、初恋を思う、かのような「初恋」で、これは、大人の浅田真央にしか出来ない表現だ。鐘や、タンゴを経て、得た表現なんだな、と思う。
さらに、以下、アメリカ杯でのプログラム全体の感想も交えつつ…
最後のレイバック、右手が、誰かを呼び止めるような形から、ふっとその手を自分の胸に引き寄せる。そこから回転がしゅっと早くなって。行ってしまう相手を、見送るような…かっこいいなおい。
二個目のスピンから3-2に向かう所に入ってるトランジッションの小さなジャンプは、ウォーレイであってる?あれ、素敵だよね…(以上、アメリカ杯の時からの感想)
・鈴木明子。「伝わりました!」(2階席に!)
伸ばされた手の先の、”何か”が見えるよう。ジャンプ1つステップアウト。6分間で3-3おりてた…と思う。柔らかい笑顔が見える前半だけど、その後、苦しむような表情があって、2Aでもう一度笑顔。その笑顔が、前半のそれと全く違う、と言うのが凄い。そして、それが2階席にまではっきりとわかる、と言うのが、もう、凄い。衣装もお洒落!
この勢いで書くなら、2日目、3日目は、かけないと思う。