第82回全日本フィギュアスケート選手権 女子感想

私がさいたまスーパーアリーナで号泣していた頃、夫が、悠未ひろさんの退団のお見送り(ファンクラブの外側)に出かけていた事が判明。

なぜわかったかと言うと、MOI(織田君引退セレモニー)を見ながら号泣する私を見て

「悠未ひろさんのお見送りの人の中にも、そんなに泣いてる人はいなかったよ…」

とか言い出したからです。みんな…家で泣いてんだよ!(笑顔で旅立ちを見送ろうという心意気!)

去年あたりから、夫が宝塚のテレビ放送を録画してみるようになって

「べ、べつにはまってないんだからね><」

とか言ってたんですが、「退団のお見送りのお見送り」と称してわざわざでかけていくわ、DVDまで買ってくるわ(驚きの9,500えん!)とこれ完全にはまっています。チケット代9,500円は高いとは思わないけどDVD9,500円は高いって思うわ…

(いつも買う芝居のDVDは6,800円くらいだし)

  • 唐突に全日本選手権、女子のお話を。
  • 女子の最終Gの強さ、半端ない。凄い。いわゆる「実力が出せなかった」演技としては浅田真央の演技がそれかもしれませんが、あれは完全に「挑戦」のプログラムなので、それはそれで凄い。倒れる時は前のめり。その挑戦も含めて全員が「強い」と思いました。

男子同様、各選手のとりとめのない話は続きに。

  独断と偏見でベストポニテ大賞は細田采花選手に決定いたしました。SP、FPともに印象に残りました。きりっとしたポニテ含めて。

  • 本郷理華選手。ぱきっとしてかっこいいです。姿勢と、柔らかさが出たらもっとおもしろそう。
  • 大庭雅選手。FP、最初のポーズはジャッジのかなり近くで背中を向けるんだけど、それがすごくかっこいい。衣装の背中もグワっとあいてて、「私これから凄いことやるよ?」って感じで。彼女にこのポーズとらせた人、天才!そして、凄い事をやった。
  • 宮原知子選手。4年前の村上佳菜子のように、男子の宇野晶磨のように、この大会の最終グループで戦う、というのは本当に意味があって、そのこと自体が選手を強くする、という事、あると思う。その場所でこの演技!宇野君同様、小さな体に対して、リンクが全く余らない。
  • 安藤選手。ここにきて、3s-3loに挑んできたって言うのが、ほんと胸あつ。競技者としての結果は、二年前で既に満足している、といいながら、それでも、挑む以上は、ということだったのだろう。それは、彼女の競技者としての矜持じゃなかろうか。
  • 転調時の横顔が美しかった。I love your skate!「くじけても、諦めないで」って、まさにそういうスケートでしたね。パーフェクトじゃなかったけれども、この演技は、2年前にはなかった物だ。安藤美姫の、くじけてもつまづいても痛い目に遭っても、自分の大事な物を守って、批難や批判に晒されても、自分は自分でしかいられない、という事をただ、事実として、自覚的に受け止め、リンクに立ちつづけたことが、あの空間を作り上げたのだ、と思う。それは、単純に「自分を貫いた」結果というわけではない。自分を愛する、とか、自分を信じる、とか、そういう言葉がもつポシティブな印象じゃとても説明がつかない。間違うこともある。嫌になることもある。弱い自分もいる。それも自分だ、という事実を、ただ、受け止めて、愛する努力をした結果、なんだと思う。
  • 最後はジャッジ席とは反対側から挨拶。(そちらがわに、バナーがたくさん出てたからじゃないかな)得点がでた後、いつまでも鳴り止まない拍手。これ全部「競技者・安藤美姫」が産んだもの、だよ!
  • その空気の中飛び出してった今井遥。強くなったーー!春ーーー!!春が来たでーーー!!。ヨーーロレリヒィィィー!可憐。うつくしい。びゅーてぃふぉー。SPも良かったのだけど、良かったSPの次、最終G、更に安藤さんの後、という滑走順の中、文字通り「飛び出して行った」感じがあります。
  • 村上佳菜子選手。きゃなこーーー!指先の使い方、腕の使い方が本当に奇麗。踊りが上手。そうなんだよね…バイオリンミューズもうそうなんだけど、彼女、今、こういう曲調がすごく似合ってる。SPとFPの曲調のバランス、ということを考えたらどちらかを強め、アップテンポ、という所なんだろうけれど、今、ちょうど、もっと!佳菜子のこういうの、もっと!!って感じだから、これはこれでいいんじゃないか。競技後、「上を目指す覚悟」みたいなものがにじみ出ていたのが印象的。なんか、行けるんだ、と本人が納得した感。
  • 鈴木明子選手。先輩!「ここで終わりじゃな」かったですね!!
  • 狙えるようになってからまるまる、浅田さん、安藤さんと被った現役時代。正直、全日本タイトルは、難しかろうと思ってた。浅田さんのミスもあるけど、あっこちゃんの出した点数は、充分戦える点数だったのよ。あの演技で「あっこちゃんの点数が出過ぎ」って言っちゃう人は、演技見てないんだと思います(きっぱり)。その場にいて、目の前で起こってる事だって、見えてない事、いっぱいあるもんね。見る側にだって心があるし、コンディションもあるし。見えてない。ただそれだけです(独断と偏見で、きっぱり)。
    FP。圧倒。このオペラ座、Friends on ICEで初めて見た時は「て、てんこ盛り…お腹いっぱい」感が否めませんでした。主に、音楽が。毎秒クライマックス、みたいな編曲で、とにかく派手だなーと。それが、N杯では(ミスもあったけど)気にならなくなって、今回全日本では完全に鈴木明子が曲を支配していました。鈴木明子の体は、楽器のよう。体自体が音を奏でて、音楽を作り出す。音が、あそこから出てるんじゃないか、と思う。一瞬の、4分間であった。全日本は、ジャッジ側から見てた。そのことを、こんなに嬉しく思うプログラムは無い。ラストは、驚いたように振り向いて口を抑え、その手を誰かに向かってのばす。のばした指先の完璧さ。胸打ち抜かれる。
  • 浅田さん。ああ、浅田さん浅田さん。正直に言うと、FPは、3Aは1回でいいと思う。プログラムのバランス考えたら、3A2回続くのはなんか、ちょっと…。3Aが失敗してもプログラム自体の力が損なわれない、他で圧倒してる、というのがここまでの強みだったんだけど、2つ着氷ミスっちゃうとさすがに、演技が終わった後の残念感も払拭されないし。
    まあ、でも、鐘のときみたいに3Aが入ったら(プログラム自体の)表現レベルが1段あがった、みたいなこともあるかもしれないので、そこに期待したい。
    佐藤先生の事信頼してるみたいだし、周囲の声もよく届いてるみたいだし、何より、演技後、表彰式までの間、あっこちゃんや佳菜ちゃんといる彼女がとっても楽そうで、よかったね、という思いでいます。全日本のタイトル取り返す為に、あと4年やるって言わねえかな。もうちょっと、続けてほしいなあ。だって彼女のスケート、どんどん面白くなりそうなんだもの。
  • 素晴らしい表彰式でした。あっこちゃんの優勝に会場中の拍手が鳴り止みませんでした。表彰台の一番上にのった彼女を祝福せん、と拍手が止まらず、それから、2位、3位の選手にだって、同様に祝福の嵐でした。

地上波放送のポエムが、あまり気にならなかったのは、現地で観戦できたせいでしょうか?最終Gまで見ていないので、最終グループあたりどうなのかわかりませんけれど。(既にBSの放送も録画できたので、地上波を無理してみる事はないでしょう)

塩原アナは「知らない選手には無口」「そして、何年経っても、知らない選手の情報を集めようとしない」という、アナウンサーとしてはどうかと思う、一方でスケートファンとしては歓迎すべき特徴があるとおもうんですが、今回は、2つばかり、あ、その情報欲しかった、ということを言っていて、それは「大庭選手のレミゼは、自分で編曲したものであるということ」「鈴木明子、13年目にして初の全日本タイトル」ってところです。あれは、よかった。ちょうど欲しい情報でした。ただ、それ以外は、「なにがいいたいの?」「とっちらかっちゃってるよ?」「ノープランかよ!」というものも多かったので、やっぱり、スポーツ中継にはデフォルトで「副音声・会場音のみ」をつけてほしいです。でも、来年からは、フジテレビが放送しないそうなんですけど。本当?