浅田真央!

浅田真央が、FPでの3アクセルを1回に、つまり、SPで1回、FPで1回の合計2回、とするそうです。
 
なんとむねあつな変更でしょう。
 
佐藤先生の言葉に耳を傾け、一度は3Aを飛ばないという選択まで出来るようになったのに、調子が上がってくると「3回飛ばないと本当には喜べない」とか言い出してた3Aを「減らす」選択が出来たって所に、浅田真央、本当に強くなったな、という感じがする。
 
周囲の声に、耳を傾けているんだろう。佐藤先生を、信頼しているんだろう。自分の一番いい演技は、3Aという難易度の高いジャンプにだけあるのではない、と言う事をちゃんとわかっているんだろう。
 
とはいえ、調子がむちゃくちゃいいからやっぱ3回にしますとか、あ、まちがえました、3回でした、とかあるかもしれないから、油断は出来ない。(でも、プログラム全体のバランス、という事に言及しているし大丈夫そう。まあ、それなら、それでいいけれど。今はきっとプログラム的に意味があるから、3回にする、ということを考えると思うから)
 
3アクセルを1回にする、という事は、6種トリプルジャンプすべて飛ぶ、という事で、3アクセルは浅田真央にしか飛べないジャンプであるという事を考えれば、これは、浅田真央しか見る事の出来ない「夢」です。
(ただし、3ルッツにはエッジエラーがつきがちで、3サルコウは苦手な事を考えると、浅田真央が3Aを抜いた5種類のジャンプを「飛べる」とするかどうか、というのは意見の分かれる所ですがーまあ、挑戦できるレベルにはある、ので、だから、夢)
 
個人的には6種ジャンプをぜひ、と思ってるわけではなくて、本人も言っているように3アクセル2回とぶより、得意不得意はあれどすべてのジャンプをバランスよく配置してある方がプログラムとしての見場もいいし、やっぱり3フリップー3ループ!とか、浅田真央の2アクセル(2A-3T)と3ループの素晴らしさよ!とか、どちらかというと、そちらの方が嬉しいわけですが。
 
それに、どうしても3Aは、周囲も彼女も息をのんでしまうため、私が一番好きだと思ってる彼女独特の音楽表現「すべてが、練習のように軽々と見える」という部分が、そがれる気がしていたので。
 
 いい時の浅田真央を見るたびに、まるで、一流の人のゲネプロを、こっそりと見せてもらっているようだ、と思います。誰もいない舞台で、一人で踊るダンサーを見せてもらっているようなそういう、贅沢な気持ち。一流のダンサーが、自分の踊りと、舞台にだけ神経を集中させて向き合い、音楽と、踊りを、喜び、慈しむ。それは、観客に見せる物とは違っているような、そういう気がします。
 リンクに立った浅田真央は、その瞬間からリンクと浅田真央とスケート、だけになって、でもそれは会場の人間とコミットしないという事でもなく、それをこっそり、覗き見させてくれているのです。私が、浅田真央が好きだと思うのは、そういう部分です。
 
 ああ、これで、本当に最後なのかもしれないな、と思います。彼女の考える最後のシーズンに、いい指導者と巡り会えて、いい仲間と一緒に、素敵なライバルたちとの、五輪があって、本当に良かった。楽しんできてほしい。心から。